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あれは数年前の冬のこと。彼女と一緒に自宅で晩飯を食った俺の腹部右側に、突然痛みが走った!背中側ではなくお腹側だったので、これは盲腸かもしれん!と思った。ズキンズキンと大きくなる痛みは間断なく俺の腹部を痛めつける。彼女は心配そうな顔をしている。
しばらく耐えようかと思ったが痛みは引かない。しかもさっき晩御飯をたらふく食べて満腹だ。満腹状態で腹部に持続的な痛みがあるというのは存外ツラいもので、俺はとうとう嘔吐してしまった。
彼女もよいよ悲しそうな顔をする。痛みに耐えながら近くにある診療所まで歩いたが、休日の夜ということもあってやっていない。ていうか歩く度に痛い。そこで救急車を呼ぶこととなった。
到着する救急車に運び込まれる俺。そばに付いてくれた救急隊員(救急隊員A)と症状について話す。彼いわく「この痛み方は尿路結石っぽいですね」とのこと。
尿路結石で救急車とか恥ずかしいな、と思った。
別の救急隊員(救急隊員B)は電話だか無線だかで病院と連絡をとっている。なかなか受け入れられる病院がないようだ。痛みも引く様子がない。付き添ってくれてた彼女は心配が高じてしまったらしく涙を流し始める。
さきほど嘔吐してしまったからなのか腹部に痛みがあるからなのかわからんが、夕食に何を食べたか聞かれた。
「皿うどんです……」と答える俺。
救急隊員Bは電話口で高らかに言う。
救急隊員B「皿うどんです!」
救急隊員A「すいませんね、なかなか空いてないみたいで」
俺「いえ、大丈夫です……うぐぐ……」
救急隊員B「はい、皿うどんだそうです!」
救急隊員A「今色んな病院に問い合わせてるところですから」
救急隊員B「皿うどんです!」
俺「はい……うぐゥ」
救急隊員A「がんばってくださいね」
救急隊員B「皿うどんを食べたそうです!」
度重なる皿うどんの波状攻撃にさすがの彼女も笑ってたよ。
みなさんも救急車で運ばれる前はお洒落な食べ物を食べときましょうね!
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さて、結局診断は尿路結石ということでした。背中側じゃなくてお腹側だったから盲腸やと思ったんですけどねえ。痛み止めの点滴打ってもらったら痛みがスッとなくなってまじ文明の勝利だと思いました!
あの時は救急車を呼んでしまったんですが、どういう対応をするのが正解なんですかね。近くで救急外来の受付してるところを知っとくのがベストかな?そこまでタクシー使う?死んじゃったら元も子もないし、やっぱ救急車?未だになんだか悩みます。
これで原因が命に関わるようなものだったら救急車呼ぶべきだったかで悩んでなかったかもしんないっすね。やっぱ尿路結石ってのが恥ずかしいからなのか!
ちなみにその時まだ20代前半!お医者さんは俺のぽっこり出た腹をみつめた後、「……運動不足?」とおっしゃられました。すんまへん!
翌日泌尿器科に行ったんですが、そこのお医者さんにはこう言われました。
医者「石のタイプにもよるけど尿路結石にはほうれん草がよくなくてね。」
俺「はぁ」
医者「よくないって言ってもポパイみたいに毎日食べなきゃ大丈夫だから」
俺「そうなんですか」
医者「そう、ポパイみたいに食わなけりゃ大丈夫」
俺「はい」
医者「ポパイみたいにね」
俺「ポパイ。(持ちネタなのかな……)」
医者「あとね、石は夜育つって言ってね」
俺「はぁ」
医者「寝る二時間前はもうなんも食べないこと。寝てる間に大きくなるからね」
俺「はい」
医者「石は夜育つってね」
俺「石は夜育つ」
医者「そう」
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夢は夜ひらくし石は夜育つらしいっすよ。夜お菓子パクパク食べちゃう人は気を付けて。
ちなみに泌尿器科でエコーとってもらった結果、僕の腎臓には左右合わせて5, 6個ほどの石がまだ入っているそうです。これが尿管にころげ落ちちゃうと痛くなるんだけど、落ちてこない場合は特になんも対応しないそうです。
ということで僕は腎臓に爆弾を5, 6個抱えています。オソロシヤ!
みんなも気をつけてねー。そいじゃソイヤ!
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