手術台の上のミシンとこうもり傘との出会い
皆さんは「しゅじゅちゅ台の上のミシンとこうもり傘との出会い」というフレーズをご存知だろうか。
私はこのフレーズを星新一のあとがきで知った。エッセイだったかも。
もとはロートレアモン伯爵という詩人の言葉で、意外な組み合わせにより受け手を途方に暮れさせるというシュールレアリスムの一手法 (デペイズマン) の原点であることがWikipediaに書かれとるよ。
星新一といえばショートショートの神 (略してショショ神さま) なのですが、このフレーズに代表される「異質なものの組み合わせ」からアイデア出しをしてたりしたそうな。
「狐憑きの男をロケットに乗せてみる」なんてね。
つまりこういう突拍子もない組み合わせを出発点とすることで、お話作りのきっかけになるかもしれんわけよ。
やってみよう!
まずお盆にりんごを乗せてみます。
これは文学だ。かなり文学。
「りんごを齧る。しゃりしゃり、しゃりしゃりと、この果実は耳にも心地よい」とか書いときゃいいんだろ!
勝負はこっからよ。ええと、何がよかろうか。
床に落ちてたダンベルを乗せてみよう!ほいさ!
どや!
いいねぇ!これはなんか突拍子もない感じでないかい?
お盆の上のりんごとダンベルとの出会い!
取り敢えずこれで何かストーリーを考えませう。
む、むむむ……。
俺の頭では「朝リンゴダイエットにダンベル運動を組み合わせて効率よく痩せよう!鍛えた筋肉でお盆を叩き割ろう!」くらいしか思いつかん。
やはり良いとっかかりがあってもその人のひらめき能力が無いとイカンよなあと思う。
もうめんどくなったのでりんごをかじる。うまい。
ダンベルもかじる。そこそこうまい。表面のコーティングがいい味出しとる。鉄はそれこそ異様に固いんだけれども、思いっきり歯を食いしばった時にずぬりと前歯が食い込む食感がたまらん。餅と同じく食感を楽しむ食い物だよなぁコレ。
俺は貧乏だから鉄くらいしか普段食えないんだけども、工夫によっちゃあ結構いける。オリーブオイルと一緒にホイル焼きにしたりね。錆びてるやつも悪かないけど、新品のパチンコ玉みたいなのをタピオカドリンクみたく牛乳と一緒にカチンカチン鳴らしながら飲むのが好き。なにより腹にたまるってのが魅力だね。コスパいいぜぇ。
そりゃたまには金も食ってみたくなるけどさ、アレなんであんなに高いのかね。食べ物の値段じゃねぇよ。1回卒業祝いで親が食わせてくれたけどさ。金の串にうなぎの白焼きが刺さっててさ、うなぎ食いながら串もいただく。でもやっぱ俺 貧乏舌だからさ、白焼きより蒲焼きのがいいよ。金より鉄のがいいよ。繊細な味って言われてもさぁ。確かに舌触りは良いけどよ。負け惜しみって言われりゃそれまでだけどさ!
金持ちってのはいいよなぁ。毎日 寿司とか金銀食ってんだろうなぁ。
ていうかお金払って金を買うって改めて考えるとおっかしーよなぁ。小銭でも食ってろっつーの。まぁ誰しも子どもの頃1回は食ったことあるとは思うけど。500円玉とか見た目も味もいいとかすげーよなぁ。でもあれでそこそこの量の鉄が買えると思うと食えねーよなあ。
まーいいや!とりあえず鉄のオススメレシピを紹介します!
まず鉄を熱します。ドロドロに溶けたところでお箸をぶっ刺して上に持ち上げると、とろけた鉄が糸みたいににょろ~っと延びます。これを空中でひたすらくるくるくるくる!
こうすっと糸みたいな鉄が冷えて固まって綿菓子みたいになるんよ。フワフワの鉄ってのもオツなもんですぜ。
こいつに生クリームを付けて食う。生クリームが絡まりやすいように鉄はなるべく細くするんだよ!ワシャワシャみょんみょんして食べにくいのはご愛嬌!
ご家庭の溶鉱炉でも簡単にできちゃうよ!
ワーイ!
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こんな感じっすかね。自分でやってみると世界観を創り出すということが本当に大変なことだと実感させられる。小説家とか漫画家とかすごいよね。
しかしほんとに鉄が食えればなぁ。
皆さんほんとに鉄 食べちゃダメですよ。ひじきいっぱい食べるぐらいにしときましょう。
じゃあねー。